【3.子どもが自発的に英語を話すには】
APRICOTメルマガでは毎回アンケートを実施しています。ある先生がアンケートで、「結局どのようにしたら暗記ではなく子どもが自ら自然に話せるようになるのでしょうか?」と指導上の悩みについて書いて下さいました。
~子どもが自発的に(英語を)発話するためにはどうしたらよいのか?~
お教室の先生方は英語教育に、日々奮闘、試行錯誤をされていると思います。そして様々な壁にぶつかります。生徒達の英語学習歴の差、モチベーション、Writing Skill、レッスン内容のバリュエーション等々。メルマガアンケート以外でも、アプリコット出版には日々、お電話、e-mailで様々なご相談が寄せられますが、この「自発的な発話」に関わる問題が特に多いようです。
アプリコット出版のコースブックLearning Worldの著者である中本幹子先生は、発話教育を3つに分類しています(
『実践家からの児童英語教育法』解説編より)。
- 語彙力と、文章の規則に関する知識
- 自分の考えをまとめ、意見を述べる能力
- 言語または非言語を使って人と積極的にコミュニケーションをする能力
自発性という観点から考えると、3つの中で重視すべきは#2になります。英語の語彙力と文法知識、コミュニケーション能力も必須ですが、自分の考えをもち、まとめて、述べる能力が前提になります。でも「自分の考えを人前で話す」という行為は大人でも苦手に感じる人は少なくないのではないでしょうか?日本語であっても、こんなことを言ったら笑われるかもしれない、他の人には興味のない話題かもしれない、間違っているかもしれない・・・・・・など、言う前から不安になってしまうこともあるでしょう。その不安には、横並びを良しとする日本人の特性、恥の文化などが拍車をかけてはいますが、自尊心の低さが大きな要因としてあります。
*中本幹子先生が提唱する「指導者が心がけるべきこと」は
こちらから
~自尊心(自尊感情・自己肯定感)が発話を促す~
「意見はすぐに言えるものではありません。幼い時からの活動を通して、自尊感情(self-esteem)を徐々に培っていくことが大切です。特に日本人の場合、自分の意見が他人と意見が違ってもよいのだという安心感と自信を指導者や教育者が持たせていく必要があります」と中本先生は仰っています。
それでは自尊心とは何でしょうか?中本先生は著書(既出)の中でself-esteemに関する研究者の言葉を紹介しています。
- 「自尊心が高いということは、人が自分自身を尊敬し、価値ある人間であると考える程度が高いことを意味し、その時自分が必ずしも人より優れていると感じることでもなく、劣っていると感じることでもないと捉えています。また自分が完全であると究極的に感じているのではなく、むしろ成長や改善の期待と限界を知っていることを意味しています。」Morris Rosenberg(self-esteem研究の先駆者)
- 「自尊心が高いほど発話回数が多くなり、コミュニケーションがスムーズになる。」Adelaide Heyde(self-esteemと第二言語の発話との関係を研究)
自分には価値があるのだ!と思えること。それは他者と何か1つのことで優劣を比較して感じることではありません。A君は野球が好き、B君はレゴが得意、Cさんは絵が上手など、他者との比較には違いないけれど、個々が持っている興味、特性を認め、相互に尊敬することで自尊心が養われていきます。
生徒1人1人に安定した自尊心を育てるためには、先生の生徒「個」への観察と、各々への働きかけの時間がどうしても長くなります。そして、それができるのは民間英会話スクールであり、役割といえるでしょう(前回メルマガ「民間英会話スクールの役割」は
こちらから)。
~自尊心を高めるレッスン~
自尊心を育むことなしに、自発的に英語を話すことは難しい。その強い信念が貫かれているのがLearning Worldシリーズです。うるとらうっちーこと内山京子先生も、生徒の自尊心を高めることを重視されており、他社テキストとの違いはそこにあると、
こちらのブログで説明されています。
ではレッスン中でどのように自尊心を育てていけばよいのでしょうか?うっちー先生とマシュー先生の具体的なレッスン方法についてご紹介いたします
このように見てくると、うっちー先生もマシュー先生も、生徒達との信頼関係が既にできあがっていることが窺えます。生徒が自発的に発話するための特効薬はなく、日々の生徒とのやり取りの中で、「間違っても否定されない」「言ってみようと思える」ように子供達と接し、その信頼関係が築けた時、少しずつ生徒に変化が出てくるのかもしれません。