さて本題です。
◆結露について
皆さんは「結露」という言葉をお聞きになったことが、お有りでしょうか?
簡単に表現すると、空気中に含めなくなった水分が目に見える形で現れる現象です。
冬の朝、カーテンを開けると窓ガラスには結露の水でビッショリと言う経験は、誰もがされていると思います。
そんな経験がないと言う方は、相当気密断熱性の高い家か、若しくは隙間だらけで超寒い家かのどちらかの可能性が高いです。
◆夏型結露
先にも挙げましたように、結露は冬の現象と考えがちですが、実は夏型結露と言うのもあります。
夏は外が暑くて建物の中はエアコンなどで冷やされていて、冬とは逆の現象が生じます。
しかし、夏型結露では気密フィルムの外側、つまり断熱材の入っている側で結露現象が発生します。
◆工事中の現場における結露現象
そして、この夏型結露は工事中の現場でも発生することがあるのです。
では、この水分は何処から発せられた物かと探ってみると、実は木材から発生している可能性が高いのです。
前回、木材の含水率のお話をしましたが、木材の含水率は0ではありません。むしろ含水率0%にまで乾燥させてしまうことの方が難しいし、たとえ出来たとしたら、サクサクで大工さんは仕事がし難くてしょうがないと思います。
JASで定められた建築用材の含水率は平均20%以下と言った記述があったと思います。
つまり幾分かは水分を含むため、気密層の内側でも木材から発せられる水分があるため結露が起こり得るということになります。
しかし、この水分の量たるや微々たるものに過ぎないため、冬型の結露のように雨漏りかと見まがうほどになることは無いため心配する程のことは無いとのことです。
又、気密層の内側で起こった場合のみ結露を排出してくれる(室内から発せられる水蒸気はシャットアウトしてくれる)都合の良い、気密フィルムも存在します。お値段もそこそこするそうですが・・・。
◆何故、結露が嫌われるか
では何故、結露が嫌われるかと申しますと、大量の水分は断熱材にカビを生えさせ、ゆくゆくは木材を腐朽させることにつながります。そして、木材の腐朽はシロアリを呼び家を傷めることに繋がるために結露が嫌われます。又色んな菌の繁殖は人体にもよくありませんね。
特に冬型の結露のように大量の水蒸気を断熱材が吸わないようにすることが大事です。
◆気密化とは
一般に建物を気密化する場合には、断熱材を入れた後、気密フィルムによって断熱材を室内側から覆います。そして、室内から発生する水蒸気を断熱層に及ばないように気密フィルムでシャットアウトします。
室内から発生する水蒸気とは、開放型のストーブやファンヒーター、人体から、料理などの煮炊きものからが殆どです。それらを気密フィルムで外へ出さないようにシャットアウトするのです。
つまり、気密化の目的は建物の内部に隙間が生じないようにすることが一番で、それによって断熱材が濡れる可能性が、うんと下がります。
又隙間風も生じにくくなります。
熱のロスが少なくなると言うことですね。
◆結局の所
良く言われるのが、どんな断熱材が良いのか?と言う話です。
実はこれ、答えが無いんですよね。
繊維系の断熱材のように値段が安ければ、施工の出来栄えは職人さんに左右されます。
又施工性が良ければ、値段が高い、性能が良ければこれまた値段が高い、などどんな断熱材にも一長一短があります。
よって、私共では部位ごとや予算によって使い分けます。
全ての部位に性能の良い物を使うと、値段も比例します。しかし、値段の安い物でも厚みを稼げば、それなりに性能は上がります。結局、断熱材って厚みさえ増やせば性能は上がるんですよね。
そのような工夫によって、温かな住まいづくりを提供しています。