今回取り上げるのは「受動喫煙対策」についてです。
喫煙派か非禁煙派かという個人の嗜好やこれに伴いがちな感情論は一先ず置いて、現在の社会的状況を確認してみませんか?
健康経営・健康職場の実現の観点から、積極的に関心を寄せていきたい課題でもあります。
企業内の対策が遅れている場合は、訴訟リスク等も念頭に置く必要があるかもしれませんよ。
ところで、喫煙の”害”について、皆様はどれ程ご存じですか。
能動喫煙による年間死亡者数は約12万人に及び年間死亡者数の1割を占めていると言われています。加えて、受動喫煙による肺がん及び虚血性心疾患の年間死亡者は約7,000人に及ぶと言われています。2016年の全国の交通事故死亡者が約4,000人であることと比して、非常に多くの方が喫煙によって寿命を縮めていると言い得ます。
たばこの煙には、三大有害物質のニコチン・タール・一酸化炭素だけではなく、約70種類の発がん物質、約200種類の有害物質が含まれているのですが、この有害物質は、主流煙(喫煙者が吸い込む煙)ではなく、副流煙(喫煙者の周囲にいる非喫煙者も吸い込む煙)のほうに多く含まれています。たばこの煙は、自分の健康を脅かすだけではなく、自分の周りにいる人たちの健康をも脅かしていることが分かっています。
さて、平成4年以降、国は、労働安全衛生法に定められた快適職場環境の形成の一環として、事業主に職場での受動喫煙防止策を推進するよう指導しているところです。また、平成15年5月1日に施行された健康増進法第25条は、学校や病院など多くの人が利用する施設の管理者に対して、罰則規定は伴わないものの、受動喫煙を防止するための対策を取るように求めています。(平成22年2月には、多くの人が利用する公共的な空間では、全面禁煙であるべきとの健康局長通知がだされています。)
社会における「嫌煙権」の確立や、受動喫煙と疾患との因果関係の解明は、企業における受動喫煙防止策への取組強化を迫っています。事実、職場での受動喫煙によって健康被害を受けたとして損害賠償請求訴訟が提起され、事業主の安全配慮義務違反が認定されるケースも存するところです。加えて、健康増進法の改正が検討されており、受動喫煙防止策について、努力義務ではなく、罰則規定のある義務とされる可能性が高くなっています。
お客様は勿論のこと、従業員をも大切にする経営こそが現在のトレンドです。
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詳しくは、当事務所ホームページや厚生労働省のホームページをご確認ください。
社会保険労務士事務所 アヴァロン
https://www.sr-avalon.com/
【厚生労働省~職場における受動喫煙防止対策について~】
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/kitsuen/index.html
【政府インターネットテレビ】
「たばこの煙の恐ろしさ 吸ってる人にも吸わない人にも知ってもらいたいこと」
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg8644.html |