世界人口の約1/4の人が結核に感染していると推測され、結核が全世界で最も多い感染症による死因である。現在行われている結核ワクチンのトライアルは、結核感染者にワクチンを施行することで病気の発症を予防でき、それにより感染の伝播を防ぐ目的で行われている。
M72/AS01E (GlaxoSmithKline)のワクチンは、結核菌の抗原(Mtb39A and Mtb32A)に由来するM72 recombinant fusion proteinを含んでおり、マラリアワクチンの成分であるASO1 adjuvant systemを使用している。Phase2の研究では、このワクチンは、安全性を示した。またHIV,非HIV患者の活動性および潜在性結核患者において特異的なinterferon-γの産生を引き出すことが示されており、体性および細胞性免疫を誘導した。今回Phase2bのトライアルでは、非HIVの潜在性結核患者対象にワクチンの安全性、有効性の評価を行った。
Phase2bのRandomized, double-blind, placebo-controlled trialがアフリカのケニア、南アフリカ、ザンビアで実施された。18-50歳の非HIV感染者のうちInterferonγ release assayで確定した潜在性結核患者を対象とした。1786名のワクチン群と1787名のプラセボ群に割り振られ3年間観察を行った。ワクチン群のうち10名が、プラセボでは22名が活動性結核と診断された(incidence, 0.3 cases vs. 0.6 cases per 100 person-years)。Vaccine efficacyは54%であった。30日間での副作用はワクチン群では67.4%、非ワクチン群では45.4%であった。重症の副作用は両者で差を認めなかった。
写真出典:Wikimedia Commons