さて、本編です。
前回は南側に道路がある場合の土地について考えましたが南と来れば、次は北ですね。
◆北面に道路がある敷地
北面に道路がある場合の敷地は、一見価値が低いように見えるため、土地の価格をやや抑えた設定になるのが相場と思います。
しかし、建物を北に寄せて南に空間が確保出来れば、そちら側が庭にもなります。
仮に南に空間が確保出来ない場合は、京町屋のような中庭を設ける事で明るさや風の抜けを感じられるお住まいも出来ます。
もっとも中庭を設けられるほど、敷地に奥行きは必要になりますが、設けた中庭は外からの視線を気にすることの無いプライベートなスペースとなります。
◆北面道路に適する用途の建物もある
住宅併用の店舗などでは北面の安定した明るさを生かした設計も可能です。
私共では写真館さんのスタジオに住宅ではタブー視されている大きな窓を北面に設けたこともあります。又絵画のギャラリーなどにも良い条件となります。
◆上空からの光は誰もが均等に利用できる
話は住宅に戻りますが、どうしても採光を確保することが難しい場合は、光を上空に期待することになります。
1階リビングの場合は例え天窓を設けたとしても、吹抜けを設けないと、折角開けた天窓からの明りは一階まで届きません。
2階建ての住宅の2階リビングの場合、天窓からの採光はダイレクトに届きます。
但し、天窓を設ける場合どうしても他に方法が無い場合を除いては北面の屋根に天窓を設ける方がベターです。どうしても南面の屋根に天窓を設けなければならない場合は、日射をどのように遮蔽するかを慎重に検討しておかないと夏の室温上昇に苦しめられることになります。
◆一見良くないと思える条件を克服した事例
今回の写真は変形敷地に建つお住まいの一室でお婆ちゃんの部屋です。
敷地自体はL字型になっていて、道路は東面にあります。西側と南側は平屋屋根付の貸し駐車場で囲まれていて外からは見えません。北面は隣地ですが通路の為に空間が空いています。
このお住まいの1階の北隅の奥がお婆ちゃんの部屋です。
しかし結果的に、この部屋は一番明るくて静かで風通しが良く、家の中での居住環境は、ここが一番と喜んで頂いています。
何故、こうできたのかはプランに依る所が大きいのですが、敷地環境を見極める、方位に従うことから生まれています。 |