さて、本題です。
◆中古住宅について
今回からは、今特集の「建物と」の建物の部分、最初は中古住宅についての見方などを書いていきます。
◆現況調査(インスペクション)
中古住宅購入にあたってはこの春の宅建業法改正により不動産業者には現況調査(以降、インスペクションと表現します)をする建築士を斡旋出来る旨の告知をする義務が生じました。
調査には多少の費用が必要になるため、現況調査を受けるか受けないかは購入者の意思次第ですので、調査自体を法で強制的にしなければいけない、と言う訳ではありません。現況調査が出来るのは所定の講習を受けた建築士資格を持つ人間でなければ出来ません。
◆斡旋の問題点
只、この不動産屋の斡旋による調査って、ちょっと疑問が無い訳では無いのですが、不動産屋は物件を売りたい、その不動産業者の斡旋で登場する建築士が、物件に問題があったとしても、立場上、その物件を悪くは言えないと思うのですよね。言えて、せいぜい、この箇所を修繕すれば大丈夫ですとか、その程度だと思いますし、その修繕に幾ら掛かるかの見積り業務は別仕事ですよ、と所定の講習で教えられました。
そうです、私もその所定の講習を受けました。
只、これは不動産屋からの斡旋を受けようとしたのでは無くて、当事務所でも独自にインスペクション業務を行いますので、そのため自発的に受けた講習です。
◆購入者の立場でインスペクション
独自のインスペクションを行う意義は、その調査を誰の立場に立って行うかです。
不動産屋側の立場に立てば、物件を買ってもらい易いような方向の回答を求められる訳ですから虚偽ではないとしても、表現の工夫によって何とかしようとするかもしれません。いわゆる元請け、下請けの関係が発生しやすくなります。
逆に、購入者の立場に立てば本当に購入しても大丈夫なのかをはっきりと伝えられます。
どちらにしても調査費はそんなに変わらないと思いますので、答えは自ずと出ますよね。
◆インスペクションの意味
インスペクションの意味ですが、例えばインスペクションをせずに皆さんの見立てだけで、物件を購入したとして、いざリフォームリノベーションしようと思ったら耐震性も無い、基礎も大きなクラックが入っていた、など重大な問題に気付かずに購入してしまうと思わぬ大きなコストが必要になり資金計画も狂ってしまいます。
又、ハウスメーカーの認定工法住宅では簡単に触り難い構造の場合もあります。
いわゆる、ハズレを掴むと言うケースですね。
このように思わぬ事態を回避するために、物件購入前にプロの目で調査をしておくことは非常に重要だと思います。仮に、特に問題がなかったのなら、安心が得られる訳ですので調査料を払ったとしても無駄にはならないと思います。
◆依頼方法
じゃあ、どうすれば購入者の立場でインスペクションして貰えるかと言うと、調査業務を行っている建築士事務所に自らが依頼すれば良いだけです。当然、私共でも調査経験は豊富にあります。 |