前々回(3/19)のメールマガジンにおいて、健康経営へのファースト・ステップとして「労働時間の短縮」に取り組むことを提案し、労働時間の正確な把握に係るガイドラインを紹介しました。加えて、前回(4/2)のメールマガジンにおいて、労働時間の大原則(1週及び1日の最長労働時間)を確認しました。
ここで、当然に気になるのが、”原則”外の取扱ですよね?
法定労働時間を超える労働を「時間外労働」といいます。
今回のメールマガジンでは、三六協定(サブロクキョウテイ)による時間外労働について確認しましょう。
健康経営を実現する上で、労働時間の基本を確認することは必須条件です。
さて、法定労働時間を超える労働は規制されています。
しかし、法定労働時間は労働時間の長さの絶対的な上限ではなく、一定の条件のもとで、例外を許しています。その一つが三六協定による時間外労働です。
すわなち、使用者と労働者とが事業場の労使協定を結び、それを労働基準監督署に届出た場合は、その労使協定の定めにより労働時間を延長することができるのです。
尤も、三六協定によって、労働時間を延長する理由や延長する時間が、無制限に許されると考えるべきではありません。
三六協定の内容は、厚生労働大臣が定める「労働基準法第36条第1項の協定に定める労働時間の延長の限度等に関する基準」に沿うものとすることが穏当でしょう。同基準は、時間外労働の上限時間を、例えば、1ヵ月で45時間、1年間で360時間、と定めています。
なお、三六協定においては、特別な事情(臨時的なものに限る。)が生じた場合に同基準の定めた上限時間を超えて労働時間を延長することができる旨を定めることもできます(いわゆる「特別条項付き協定」)。この特別条項付き協定により、事業・業務の実情に応じて労働時間を延長させることができますが、法定労働時間が定められている主旨を決して忘れず、適正に運用することが非常に重要です。
ところで、現在、政府が進める「働き方改革」において、「時間外労働の上限規制」が議題となっています。これは、法定労働時間を超える労働を許す三六協定に対して、絶対的な上限規制を定める主旨です。
最終的には、国会において労働基準法などの関連法の改正が必要ですが、現在公表されている指針によりますと、法定労働時間を超える労働は、三六協定によっても、原則、1ヵ月で45時間、1年で360時間とし、違反には罰則が科される予定です。また、特別条項付き協定をもってしても、時間外労働は1ヵ月で100時間未満、1年で720時間を超えることはできないこととされる予定です。
健康経営の実現とは視点が異なる規制ではありますが、基本的な知識としてご確認をいただければ幸いです。
メールマガジンの紙幅ではお伝えしきれない詳細な情報もございます。
詳しくは、当事務所ホームページや厚生労働省のホームページをご確認ください。
社会保険労務士事務所 アヴァロン
https://www.sr-avalon.com/
【厚生労働省~時間外労働の限度に関する基準~】
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/040324-4.html
【首相官邸~働き方改革実現会議~】
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/ |