ヒトに病原性のあるナイセリア属の細菌は主に髄膜炎菌
N. meningitisおよび淋菌
N. gonorrheaの2種類である。髄膜炎菌は髄膜炎、敗血症を、淋菌は性感染症、尿路感染を起こすことで知られている。近年、髄膜炎菌による尿道炎のケースが報告されている。尿路感染を起こした髄膜炎菌をWhole genome sequencingにより詳細に調べたところ、 Sialic acid capsuleに関する遺伝子の変化、また淋菌からの遺伝子カセットの遺伝子変換により髄膜炎菌は尿路感染に適した菌へと変化と遂げた可能性がある。
グラム染色では、淋菌と髄膜炎菌は類似しており(グラム陰性双球菌)、尿道炎の症例において、培養結果が出るまで髄膜炎菌の確定診断は難しい。淋菌に比べ髄膜炎菌は、現時点では抗菌薬に対して全般的に薬剤感受性は良好である。髄膜炎の検出時には感染対策を行う必要がある。また今後耐性菌の出現が懸念される。