自動車整備という仕事は、現状を詳細に分析することはもちろん、正確な情報収集がとても重要で、バランス感覚の取れた思考や、多角的な視点を常に保つよう心がけています。
そんな日常で、突如として現れたコメ騒動。
「メディア報道と実態のギャップ」を強く感じましたので、以下、僕なりに分析してみました。
日本のコメ市場は非常に特殊で繊細なバランスの上に成り立っています。
まず、主食であること。
生産サイクルが長期(1年)であること。
さらに長期備蓄の困難さなどの要因が、その需給バランスを複雑にしています。
さて、昨今のコメ不足。実際の生産量や在庫量よりも、メディアによって形成される心理的要因の方が、大きな影響を与えている可能性があるのでは?と考えるようになりました。
同質性に富む日本社会は、概ね報道機関への信頼が厚い上、平均的に高い識字率と教育水準で、情報へのアクセスが迅速で理解力が高く、情報が急速に広まりやすい条件が整っています。
加えて近年は、スマートフォンやSNSなど、テクノロジーの普及による情報の即時拡散により、マスメディアの影響が世界的に見て特に強く現れるのではないかと思います。
SNSなどの情報拡散は、局所的な品薄状態を全国的な現象として認識させてしまう危険性が高いのです。
コメ不足の可能性を報じるニュース → 消費者の不安 → 買い溜め行動 → 実際の品薄状態
という連鎖反応が起こりやすい環境にあるというわけです。
5年前の「丸山モリブデン」騒動は記憶に新しく、爆発的な需要増と供給不足の頃が頭をよぎりました。あの一件も動画配信サイトという現代を象徴するメディアが発端だったからです。
メディアに依存せずに情報を得る方法として、公的機関公表のデータ閲覧、個人的な世の中の観察などが考えられます。
僕は、昨年2023年に水田で育成される水稲を直接観察していましたが、お米はよく育っていました。
稲作農家の方にも直接お話を伺う機会もあり、特に不作というお話はありませんでした。
実際、農水省が公表している米の生産量や需要量のトレンドを見ると、近年、毎年約10万トンずつ減少傾向であるものの需給バランスは取れているように見えます。
話は逸れますが、今思い返すと、平成5年に起こったコメ不足は本当に深刻でしたね。
経験の無い冷夏で日照不足が著しく、発育の極端に悪化した水稲がどの水田でも観察できました。当時の統計を見ると数字上も需給バランスが大きく崩れているのがわかります。
もし、僕の推察が正しければ、今回のコメ不足を理解する上では、実際の生産量や在庫量だけでなく、情報の流れと消費者心理の分析が不可欠であるということ。
そして、現代社会におけるメディアの影響力と個人の情報収集の在り方について真剣に考える時が来ていると思います。
こういった状況を改善するためには、
長期的にはメディアリテラシー教育を強力に進めていく必要があるのですが、短期的には、政府や関係機関による正確かつ迅速な情報提供と、消費者の冷静な判断を促す啓発活動が最も大切です。
僕は今回の事態もメディアに触れずに知ったのですが、そういう大切な報道はなかったのではないでしょうか。
今回のコメ不足がメディアの情報発信がきっかけだったとしたら、多くの人々がメディアに強く依存している現状を表わしていますし、メディアが単に情報を伝達するだけでなく、現実を形成する力を持っていることをも示唆しています。
僕は基本的にメディアが流す情報を信用していませんし、メディアは効果的に耳目を集めることばかりに一生懸命という印象が強く、優良な情報はほとんどありません。
昨今のメディアに触れると生活の潤いどころか、大切なこの世の時間を浪費すると判断しています。
そうして、20年以上にわたってメディアに極力触れずに日常生活していますが、主流メディアに依存せずとも、例えば、天気などは空を見て、風の匂いを感じるだけで十分。そうして自然を感じ、家族や顧客と適度にコミュニケーションするだけで、良質な情報を得て快適に生活できていると思っています。
読者のあなたは、どのように情報を取捨選択されていますか?