代謝の低下と免疫の低下、老化
さて本題に戻って、炭酸脱水素酵素のカタボリズムでまず思い浮かぶのが、強力になんでも溶かす、胃酸の生成に関わっているということだろう。
炭酸脱水素酵素の主要な働きの一つに、炭酸から重炭酸イオンを解離してプロトン(水素イオン)を作り出すというものがある。
胃酸の分泌を減らす薬、プロトンパンプ阻害剤は炭酸脱水素酵素阻害剤でもあることが多い。[プロトンパンプ]
さて炭酸脱水素酵素のカタボリズムを抑えると、様々な健康・長寿効果が得られることが、近年明らかになってきている。
カタボリズムの対局がアナボリズムであると述べたが、具体的には、これは通常の「酸化亢進」を意味し、酸素呼吸が活発な状態を意味する。
酸素呼吸が活発といっても組織レベルの話であって、息を吸ったり吐いたりする「呼吸」は、ヨガの如く非常にゆっくりになる。
これに関しては別の機会に詳説したい。
代謝の低下と免疫の低下、老化は、概ね同義と考えられるほど、有酸素的酸化は重要なのだ。
有酸素的酸化には二酸化炭素の血中濃度が高いことが重要で、これはボーア曲線といって、二酸化炭素分圧との関係からよく知られている。
体内の二酸化炭素濃度を上げると、血球からの酸素解離量が増え、組織により多くの酸素が行き渡り、健康な酸化を亢進する。
(続く) |