チームで仕事をする場合、各メンバーがバラバラで、お互いに協力しないなど非効率な仕事の進め方をしていると当然のごとく生産性が低くなってしまいます。
このような、メカニズムを社会心理学者のスタイナーは「プロセス・ロス」と呼んで以下の公式で、その生産性を予測しようとしました。
実際の生産性=潜在的生産性―欠損プロセスに起因する損失
チームの生産性は、ひとり一人がもつ潜在的生産性から、お互いの相互過程で生じるロスを引いたものであるという考え方です。
社会心理学という分野で、「綱引きの実験」というものがあります。
100kgの物を引く力を持っている人3人と、300kgの物を引く力を持つ1人が綱引きをした場合、どちらが勝つか? という場面を想像してください。
スタイナーの公式によれば、1人で300kgを引く力の方が勝つということになります。
3人の方は、お互いが無意識に依存してしまう「社会的手抜き」が起きたり、事前に息を合わせるといったような「タスクの調整」を行わないためにパフォーマンスが発揮できないということです。
300kg > 100kg+100kg+100kg
つまり、集団や組織には、何もしないと「プロセス・ロス」が生まれるということです。実際に企業の現場でも、似たようなことが起きているのではないでしょうか?
実は、集団を形成するときには、必ず「プロセス・ロス(process loss)」と「プロセス・ゲイン(process gain)」という現象が発生するのです。
プロセス・ロスとは、グループ行動が引き起こすネガティブな作用です。
プロセス・ゲインは、グループ行動から得られるポジティブな作用です。
当然のことながら、チームの生産性は、どれだけプロセス・ロスをなくし、プロセス・ゲインを最大にするかによって決まるわけです。
集団や組織の中の信頼関係やネットワーク、助け合いの規範を形成、発達させる必要があります。
それによって、プロセス・ロスを抑制し、逆にメンバー間の相互支援や相乗効果によるプロセス・ゲインを得ることができるのです。